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<<   作成日時 : 2015/06/19 11:53   >>

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June 07, 2015(Mainichi Japan)
Kaleidoscope of the Heart: Illness does not erase a person's intrinsic qualities
香山リカのココロの万華鏡:「患者さん」に救われた /東京

While I was seeing a patient the other day, we were hit by an earthquake. Earthquake alerts blared simultaneously from people's mobile phones. The quake registered a 4 in Tokyo on the seven-point Japanese seismic intensity scale.
 先日、外来診療中に地震があった。東京は震度4、携帯電話の緊急地震速報があちこちでけたたましく鳴り響いた。

I half rose from my chair, saying, "This one's pretty big, isn't it?"
 私は思わず、「あ、地震。けっこう大きいですね」と椅子から立ち上がりかけてしまった。

The patient in my consulting room smiled. "I've long worked in construction," he said, "and I can tell this building will be just fine in an earthquake this size."
 診察室にいたのは、そのとき診療中だった男性の患者さん。彼はまったく動じることなく、「先生、大丈夫ですよ。私は建設現場で長らく仕事をしていたのでわかりますが、これくらいの地震じゃこの建物はびくともしません」と笑顔で話してくれたのだ。

Relieved, I finally sat back down. From that point on, the patient told me stories about his past with a sense of humor, like about the time he experienced an earthquake while he was high off the ground on scaffolding. He was probably trying to relax me, seeing that my face was still ashen from fear.
 その言葉に私もほっとして、「そうですか、よかった」と腰を落ち着けることができた。それからひとしきり、その男性の患者さんは「昔、高い足場の上にいるときに地震が来たことがあって」などと昔ばなしをユーモアを交えて披露してくれた。おそらくまだ私の顔が青ざめていたので、気をつかってくれたのだろう。

Thanks to the man's kindness, I was able to finish the rest of my consultations that day without any problems. When I said goodbye to the nurses and left the hospital, I thought to myself, "That man saved me today."
 その男性の気配りのおかげで、その後の診察も滞りなく終えることができた。看護師さんたちに「お疲れさまでした」と告げて病院を出るとき、私は「今日はあの人に救われたな」としみじみ思った。

Until the earthquake, the man had been talking about the various symptoms that he was suffering, and I had been the one giving him advice. But in the moment the earthquake occurred, our positions flipped. I was now the troubled one, and he gently calmed me down. You could say that as a human being, my patient had far more poise than me.
 思い返してみると、地震が起きるまではその男性の患者さんが体の不調をあれこれ訴えて、私のほうが「困りましたね。ちょっと外出のトレーニングなどをしてはどうですか」などとアドバイスする立場だったのだ。それが、あの揺れの瞬間、立場が逆転して、私のほうがオロオロして、彼が私をやさしくなだめてくれた。人間としてはその人のほうがよほど落ち着いている、と言ってもよいだろう。

I am merely a doctor by occupation, and that does not make me more mature than anyone else. But it's possible that being addressed as "Doctor" all the time, giving advice and prescribing medications, has gotten me fooled into believing subconsciously that I'm more mature and composed than I actually am.
 もちろん、私は職業として医者をやっているだけで、決して人格的にすぐれているわけではないことは言うまでもない。しかし、いつも「先生」と呼ばれ、助言したり薬を出したりしているといつの間にか自分でもカン違いし、どこかで「私はしっかりした人間だ」などと思い込んでいる可能性もある。

At the same time, I was reminded that people who are in the position of "patient" may suffer from a range of ailments, but that doesn't mean they've lost their intrinsic kindness and strength.
 そして同時に、日ごろは体調不良や気持ちの落ち込みに悩み、“患者さん”と呼ばれる立場にいる人も、当然のことだがもともとのやさしさ、強さなどまで失っているわけではないことにも改めて気づいた。

A person is uniquely that person regardless of illness.
 いくら病に陥っていても、その人はその人。

Their strong suits are still there.
持ち前の良さはそのままなのだ。

The earthquake made me reflect upon a lot of things.
地震の一件は、私にいろいろなことを考えさせてくれた。

(精神科医)
(By Rika Kayama, psychiatrist)
毎日新聞 2015年06月02日 地方版

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