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zoom RSS 「円安なら株価が上がる」は本当か まじめに「円安と株価の関係」を考えてみた

<<   作成日時 : 2014/09/30 12:48   >>

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(東洋経済オンライン記事を引用)

 今日は、まじめに考えてみよう。

 いつもまじめなのだが、ここでいう「まじめ」とは、行動ファイナンス的にではなく、いわゆる「ファンダメンタルズ」的に考えてみるということだ。

 さて、そうなると、円安で日本株が上昇する、というのは説明がつきにくくなる。行動ファイナンス的に言えば、円安は日本経済にプラス、だから日本株上昇、という連想ゲームをみんながするから、円安となれば迷わず日本株買い、ということですべてが済んでしまう。

なぜ「円安株高」という連想ゲームが働くのか

 しかし、「まじめに」考えると、なぜ、円安株高という連想ゲームが働くのかが問題だ。行動ファイナンスで考えれば、連想の理由はどうでもよく、皆がそう連想する、という連想が重要なのだ。

 いったん、この連想の連鎖が皆に広がれば、自動的に連想の連鎖は広がり、続く。これがバブルであり、連想の根拠があろうがなかろうが、それがファンダメンタルズであろうがなかろうが、同じことで、すべてバブルなのだ。

 ただ、いわゆる「ファンダメンタルズ」で考えてみることも重要である。なぜなら、前回の9月9日のコラム「私に『金融』を考えさせた『3つの事件』」で触れたように、金融の時代は終わり、実体経済の時代がやってきているからだ。

 そうなると、連想ゲームは、金融だけの事情では起こりにくくなってくる。実体経済、いわゆる「ファンダメンタルズ」によって、金融市場は動かされる側になってくるからだ。連想ゲームが起こるとしても、「ファンダメンタルズ」が基礎、あるいはきっかけになるはずだからだ。

 さて、円安が日本経済にプラスというのは本当だろうか。経済学で言えば、これは100%誤りである。為替レートは経済学では交易条件であり、円が強い、自国通貨が強くなれば、必ず、自国の経済厚生は高まる。

 つまり、国民は幸せになるのである。なぜなら、円が強くなるということは、同じ100円でより多くのモノが手に入るということであり、食べ物も資源も衣類もすべて安く手に入るわけであるから、必ず幸せになるのである。

なぜ「円高悪玉論」は、半ば常識となったのか

 しかし、円高のせいで日本経済がおかしくなっていた、という議論は、半ば常識として取り扱われてきた。これは、なぜだろうか。

 もっとも一般的な解釈は、為替には均衡為替レートが存在し、市場の調整機能が十分発揮されれば、到達することになる為替レートがあるが、そこから一時的に外れると、さまざまなひずみをもたらすということである。そして、これまでは、均衡レートを上回る円高だったということだ。

 つまり、たとえば、均衡為替レートが1ドル90円であったときに、78円になってしまうと、輸出企業は苦しむ。彼らが均衡為替レートを正しく認識していたとすると、78円というのは異常事態であり、いつかは均衡に戻るはずである。

 均衡に戻れば、1ドル90円になれば、現在の生産工場の立地はこれでいい。日本中心でいい。だから、90円に戻るまでは、歯を食いしばってがんばり続ける。こういう意思決定をしたとすると、一時的な円高は苦痛である。

 そして、一時的と思った円高が数年も継続すると、苦痛では済まなくなり、企業の危機である。需要はその数年間に他の国の生産者に取られ、まったく市場からおいていかれ、衰退してしまう。取り返しのつかない円高ということになる。一時的な円高を修正しようとしなかった日銀が悪い、という非難というか愚痴も出てくる。

 しかし、これは単なる愚痴だ。行動ファイナンスの世界になれているわれわれには、とても愚かな言いわけに聞こえる。ノイズトレーダーリスクがあり、株価が均衡価格あるいはファンダメンタルズに戻ってくる保証はないから、均衡に戻るというナイーブな信念で、投資戦略を立てる愚か者はいない。実体経済においても、証券投資と同じく、ポートフォリオを組むべきなのだ。

 すなわち、世界に生産ネットワークを構築し、一時的に円高で日本での生産がコスト上不利になった場合には、その期間は、米国工場の生産を100から150に増やし、欧州工場の生産を50から80に増やし、日本工場の生産を200から120に抑える、というような対応を取るべきなのだ。

 そういうことができるのは大企業だけだ、と言われそうだが、グローバル経済で生きていく以上、一点集中で勝負するのは、全財産を個別株1銘柄だけに集中させるのと同じくらい危険なことなのだ。

 そして、個別銘柄のリスクよりも為替の動向は読みやすい。なぜなら、為替には明らかなモーメンタムがあり、いったん円高方向にすすむトレンドができれば、ある程度は継続することはわかっているからだ。

 もう一つは均衡レートの読み誤り、ということがある。そもそも、金融市場ではファンダメンタルズによる均衡レートを期待することそのものが間違ってはいるのだが、そうだとしても、均衡レートが120円にあると考え続けたのは間違っている。実体経済からの均衡レートは、85円から95円というのが妥当な推測だ。現在110円へ向かおうとしているのは、異常な金融緩和によるものであり、いまこそ実体経済から見た均衡レートからは外れる動きをしている。

「円安歓迎の上場企業」のファンダメンタルズは改善

 さて、本題は、なぜ円安になると日本経済にプラスになるのか、ということであった。モノを手に入れるためのおカネの価値が下がるのであるから、日本国民は不幸になるということであった。そして、為替レートの一時的な変動は、実体経済における企業などの行動にひずみをもたらすということがわかった。

 しかし、均衡レートを超えて円安になることで、経済が良くなることは絶対あり得ない。均衡から外れること自体が不幸であるし、しかも、それが自国のおカネの価値を下げ、土地のドルベースの価格を下げ、企業の時価総額を下げ、日経平均のドル建ての価格を下げることになるから、何もいいことがあるはずがなかった。

 円安により、世界経済における日本の存在感も価値も大きく低下したのである。中国にGDPで抜かれて悔しがるのであれば、円高になれば、すぐに抜き返すことができるにも関わらず、悔しがった人々は、円高がそれに拍車をかけたと勘違いしていたのである。

 そうなると、円安株高の理由は「ファンダメンタルズ」上はまったくなくなる、ということになる。では、なぜ、円安株高の連想ゲームはまだ続いているのであろうか。

 それは、「ファンダメンタルズ」を日本経済の「ファンダメンタルズ」で考えたからだ。日本経済ではなく、日経平均株価の構成銘柄、あるいは東証1部上場企業の「ファンダメンタルズ」で考えなければならなかったのだ。企業の「ファンダメンタルズ」とは企業価値であり、企業の収益とリスクからなる。この企業収益が、円安により増えるかどうか、ということなのだ。

 いまやコンセンサスとなったように、円安では輸出は伸びない。前述のポートフォリオをきちんと構築している、これらの上場大企業たちは、世界中に生産基地ポートフォリオを確立している(しつつあった。そのためには円高は割安で海外の土地や工場や企業や人々を安く雇えたのだ。もはや円安では、田中将大を買い戻すことはできない)。

 だから、円高対応で、価格競争にさらされるコモディティと呼ばれる、多くの生産者が作ることができる製品は、海外へ、それも日本とは賃金が10分の1以下などの国に移したのである。なぜかテレビの生産者の一部は、これをしなかったために、大きな損出を出した。これは単なる誤りであった。

 さて、したがって、円安になっても、これらの生産は日本には戻さない。当初は円高対応がきっかけだったが、実際に海外に拠点を置いて見ると、賃金の違いは為替の20%などでは埋められない差であり、しかも、販売先の市場に近い立地で生産することのメリットが大きいことに誰もが気づいたからである。

 人を雇うのであっても、現地の人々を使った方が、現地にふさわしいものづくりができることは、よく考えてみれば明らかだった。

 この結果、価格競争だけのコモディティだけでなく、付加価値の高いモノであっても、現地で作るという流れが定着した。したがって、今後も、円安ぐらいでは日本に生産を戻すということは起きにくいだろう。

円安で株価が上がる2つのメカニズム

 しかし、それでも、円安で企業収益は改善し、株価は上がる。それは、2つのメカニズムである。第1に、もともと日本から輸出していたモノの利益率が高まることである。400万円のコストをかけて作った自動車を米国市場で5万ドルで売っていた場合、1ドル80円なら利益ゼロだが、1ドル100円なら利益は1万ドルだ。だから利益率は上がる。

 しかし、価格引き下げで販売数量を伸ばし、輸出を増やし、生産を増やす、という行動には出ない。米国市場においては、5万ドルが最適な企業戦略価格だからだ。だから、輸出は伸びず雇用は増えないが、利益は増える。賃金は、この企業は上がる可能性はある。

 もう一つのメカニズムは、より単純で、たとえば、この自動車会社の米国現地子会社の利益が年間10億ドルだったとすると、円換算が80円なら800億円、100円なら1000億円になるなら、2割増益になるからだ。この二つのメカニズムで、企業収益は大きく改善したのである。

 先日、ある外資系証券会社の分析を見た。円安の企業収益に与える影響というものだった。輸出企業に限らず、企業全体である。輸入企業、内需企業は輸入コスト高で苦しくなるのは当たり前である。しかし、輸出と輸入、内需、すべての企業への影響をトータルすると、前述の増益の第一のメカニズムを考慮してもマイナスであることが判明したそうだ。つまり、モノの実際の輸出入では明らかに損失なのである。

 これは前述の経済学が述べたとおりで、交易条件の悪化が、いわゆる経済厚生の水準を低下させるというモノで、企業部門に限ってもマイナスだったのだ(消費者は100%マイナスであるから、日本経済全体ではそれ以上のマイナスだが、ここでは関係ない)。

 しかし、前述の「第二のメカニズム」=子会社効果は大きなプラスで、これを加えると、トータルでプラスになるという分析だった。だから、円安で株高になるのは正しい、という議論であった。

円安による株高は長続きしない

 これは何を意味するか。実態ベース、実質ベースでは、日本企業、上場企業に限っても大きなマイナスであることを示している。なぜなら、子会社の利益は円換算にした場合にプラスとなるだけで、ドルベースで考えると不変だからだ。

 そして、実体経済ベースではマイナスなのだから、これは実質ベースで考えれば、上場企業にとってすら大きなマイナスなのだ。なぜなら、もはや海外企業を買収しようにもより多くの円が必要になり、海外企業にとっては、より少ないドルや元で日本企業や人材や土地を買うことができるからだ。

 こうなると、やはりファンダメンタルズで考えると、円安株高というのはごく短期の会計上の利益改善に着目した動きということになる。ファンダメンタルズ的に言えば、持続はしないということになる。

 実際、円安がすすんでも株高にならない場合が、最近は散見されるようになってきた。そのときの市場のムード次第、仕掛ける側の都合次第で、円安は株高につながったり、つながらなかったりするようになっている。

 意外と市場もファンダメンタルズに近づいていると言えるかもしれない。

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